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Column

2024.07.09

お金をかけないで持株会社(ホールディングス)体制をつくる方法

前回のコラムにおいて、持株会社のつくり方には「現金の流出があるもの(株式買取)」と「現金の流出がないもの(株式移転、株式交換など)」があるとご説明いたしました。今回は、後者の方法「現金の流出がないもの(株式移転、株式交換など)」についてお話させていただきます。(「現金の流出があるもの(株式買取)」については前回のコラムをご覧ください。)

この記事のポイント
  • お金をかけずに持株会社(ホールディングス)体制をつくる方法がわかります。

持株会社(ホールディングス)のつくり方

持株会社のつくり方は複数ありますが、今回は「お金をかけずに」持株会社(ホールディングス)体制をつくる手法として、「株式移転」と「株式交換」のスキームをご紹介させていただきます。

1. 株式移転(子会社となる会社の株式の現物出資により持株会社を設立する方法)

【前提】
現状…A社の株主は1名
実現したい資本関係…持株会社を設立し、持株会社を親会社、A社を子会社とする持株会社体制をつくりたい

【方法(株式移転)】
  1. 既存会社(A社)の株主が(現金の代わりに)所有しているA社株式を出資(現物出資)して持株会社を設立する。
  2. その株主は設立する持株会社の株式の発行を受ける。
株式移転の手順

2. 株式交換(ある会社が他の会社を完全子会社化する方法)

【前提】
現状…A社とB社があり、両社の株主は同一人物
実現したい資本関係…B社を親会社、A社を子会社とする持株会社体制をつくりたい

【方法(株式移転)】
  1. 既存会社(B社)がA社の株主からA社株式を取得する。
  2. B社はその対価として(現金の代わりに)自社(B社)株式をA社の株主に発行する。(このケースの場合、A社とB社の株主は同一のため、実務上は株式の発行は省略することが多いです。)
株式交換の手順

株式移転、株式交換のメリット・デメリット

上記スキームによる効果は次の通りです。

メリット デメリット
持株会社・後継者
  • お金(株式の買取り代金)をかけずに持株会社体制をつくれる
  • 自社株評価額が下がる可能性がある
  • 後継者に株式が移転するわけではない(既存会社の株主構成がそのまま持株会社の株主になる)
  • 株式移転の場合、自社株式評価額が下がるとしても3年経過後から
現経営者
  • お金(株式の買取り代金)をかけずに持株会社体制をつくれる
  • 自社株式の売却による譲渡所得税などの負担がない
  • 手元に現金が入らない
  • 税制適格要件の充足など、株式買取に比べて確認する事項が多い

前回の記事記載の「株式買取」の方法と違い、上記の方法はお金(株式の買取り代金)をかけずに持株会社体制をつくることができます。一方で、デメリットに記載のとおり、上記の方法で持株会社体制をつくるだけでは後継者に株式が移転するわけではありませんので、今後の事業の方向性、組織体制、株価低減の効果などを総合的に勘案し、持株会社体制の構築を検討する必要があります
持株会社体制は、所有と経営の分離、後継者や幹部メンバーの育成(子会社の社長就任など)、事業ポートフォリオの多様化、リスク分散、ガバナンス強化など、たくさんのメリットがあります。また、「チーム型経営」の観点からも検討する価値のある体制ですので、持株会社について気になられている経営者様、後継者様はぜひ一度ご検討ください。

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この記事を執筆したのはです
足立 祐介(Yusuke Adachi)
Team事業承継・税務支援
マネージャー
上級経営会計専門家
税理士
1984年生まれ、横浜育ち。大学卒業後、横浜総合事務所に入社し、4年間、中小企業の会計税務支援と上場企業の税務監査業務に従事しました。その後、大手税理士法人に転職し、税務関連業務は継続しながら、事業承継の業務にも従事。様々な経験を積み、2022年1月に横浜総合事務所に再入社しました。現在は、中小企業の永続発展に貢献すべく、事業承継支援、経営計画策定支援を中心とした経営コンサルティング業務に従事しております。 お客さまのビジョン実現に貢献すべく、お客さまの成長スピードに負けないよう、常に成長してまいります。
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