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Column

2024.12.13

事業承継で「脱ファミリー化」が加速、後継候補に「ベテラン」求める志向が強まる

2024年11月22日に、帝国データバンクが「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)」を公表しました。
詳細は帝国データバンクの記事をご確認いただければと思いますので、本コラムでは、上記調査結果のポイントについて箇条書き形式で解説します。

この記事のポイント
  • 事業承継の後継者不在率の動向や手法の傾向がわかります。

調査結果の要旨

  1. 2024年の後継者不在率は52.1%。調査開始以降で最低値も、改善ペースは鈍化傾向。
  2. 「50代・60代」で後継者不在率が悪化。「80代以上」は全年代で最低。
  3. 「三重県」34.1%、4年連続で全国最低水準。「秋田県」72.3%で全国最高水準。
  4. 事業承継で「脱ファミリー化」が加速、後継候補に「ベテラン」求める志向が強まる。

項目ごとのまとめ

  1. 後継者不在率の推移と現状
    2024年の全国後継者不在率は52.1%となり、調査開始以降で最低値を記録しました。前年から1.8ポイント(pt)低下し、7年連続で改善傾向が続く一方、改善ペースは鈍化しており、コロナ禍後では2020年に次ぐ小幅な改善にとどまりました。
    • 背景
      官民による事業承継支援の普及や、地域金融機関の取り組みが進展。事業承継の重要性が広く認識され、小規模事業者にも支援が行き届くようになった。
    • 課題
      高齢代表者の計画中止や後継者辞退などが増加傾向にあり、高齢層でのリスクが顕著に。特に「80代以上」では後継者不在が7.0%に達し、全国平均の約2.6倍。
  2. 年代別の動向
    • 「70代」で不在率が最も大きく減少(28.5%、1.3pt減)。
    • 一方、「50代」(+0.4pt)、「60代」(+0.2pt)では悪化。
  3. 地域別の動向
    • 最も不在率が低い都道府県:「三重県」(34.1%、4年連続最低水準)。
      地域金融機関の支援や比較的安定した経営環境が背景。
    • 最も不在率が高い都道府県:「秋田県」(72.3%、調査開始以降で最高)。
      若年層の都市部流出や親族外承継への抵抗感が要因。

    全国平均を下回る都道府県は37に増加(前年35)。最も改善が進んだのは「滋賀県」(7.0pt減)、最も悪化したのは「三重県」(3.9pt増)。

  4. 業種別の動向
    • 全業種で不在率60%を下回る(2011年以降の調査期間で初めて)。
    • 最も不在率が高い業種:「建設業」(59.3%、ただし改善傾向)。
    • 最も低い業種:「製造業」(43.8%)。
      サプライチェーン全体への影響を懸念し、重点支援が奏功。
  5. 事業承継の手法の変化
    ~「脱ファミリー化」が加速、後継候補に「ベテラン」求める志向が強まる~

    2020年以降の過去5年間で代表者交代が行われた企業のうち、前代表者との関係性(就任経緯別)をみると、24年(速報値)の事業承継は血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」によるものが36.4%に達しました。これまで事業承継の形式として最も多かった「同族承継」(32.2%)を速報値段階で上回る結果となりました。2023年(実績値)は「同族承継」(36.0%)が最も多かったものの、「内部昇格」が占める割合との差は1.6ptまで縮小していました。
    • 「内部昇格」による事業承継が36.4%と最多。「同族承継」(32.2%)を上回る。
    • 「外部招聘」(7.5%)や「M&Aほか」(20.5%)といった脱ファミリー化が加速。
    代表者・就任経緯別推移のグラフ
  6. 後継者候補の傾向
    • 「非同族」が最多(39.3%)で3年連続増加
    • 同族承継の「子ども」や「配偶者」は減少傾向。一方、「親族」への承継は微増。
    後継者候補の属性割合のグラフ
  7. 課題と展望
    • 課題:後継者の選定後に承継が中断するケースが一定割合存在。代表者と後継者間の認識の差や能力面での懸念が背景にある。
    • 展望:後継者育成や経営引き継ぎ支援の強化が必要。特に、今後も発生する可能性が高い後継者難倒産を踏まえた具体的な対応が求められる。
    • 注意点:M&A仲介におけるトラブルの増加が顕在化し、事業承継の健全性を脅かす要因として注視されている。

全国的に後継者不在率は改善傾向にありますが、地域や業種によって濃淡があり、高齢層での中断・白紙のリスクや承継中断の増加が課題となっています。ゼロベースからの事業承継には、一般に最長10年程度の準備期間が必要とされており、仮に70代から事業承継に着手したとしても、代表者の病気・死亡により後継者育成に支障をきたすリスクは非常に高いため、代表者が高齢で後継者がいない、円滑な事業承継が進まない企業を中心に、後継者難倒産が今後も発生する可能性が高い状況です。

当社では、2024年12月23日(月)に「終活としての事業承継」というテーマでチームyoko-so代表の泉がセミナーを開催します。60歳での事業承継を目指し、早い段階から事業承継に取り組んできた、当社の実際の事業承継のプロセスを包み隠さずお伝えしますので、皆様ぜひご参加ください!

この記事を執筆したのはです
足立 祐介(Yusuke Adachi)
Team事業承継・税務支援
マネージャー
上級経営会計専門家
税理士
1984年生まれ、横浜育ち。大学卒業後、横浜総合事務所に入社し、4年間、中小企業の会計税務支援と上場企業の税務監査業務に従事しました。その後、大手税理士法人に転職し、税務関連業務は継続しながら、事業承継の業務にも従事。様々な経験を積み、2022年1月に横浜総合事務所に再入社しました。現在は、中小企業の永続発展に貢献すべく、事業承継支援、経営計画策定支援を中心とした経営コンサルティング業務に従事しております。 お客さまのビジョン実現に貢献すべく、お客さまの成長スピードに負けないよう、常に成長してまいります。
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